Parallels Desktop 15 と DirectX 11、そして Metal
最近リリースした Parallels Desktop® 15 for Mac は、数多くのすばらしい機能を搭載しています。これらの機能は、このアプリケーションを使用する大勢のユーザーの多岐にわたる用途で、多くのメリットをもたらします。中でもユーザーの多数にもっとも大きなメリットをもたらす機能が、Metal® への移行と DirectX®、特に DirectX 11 のサポートだと考えています。Parallels Desktop 15 で実装したこの機能により、多くの種類の Windows® アプリケーションでパフォーマンスが向上します (特にグラフィック面)。本ブログ記事では、この新しい機能がもたらすいくつかのメリットを取り上げ、またこの機能が多くのユーザーに与える効果について説明します。
Windows アプリケーションおよび Mac® アプリケーションが、それぞれのユーザーに対して高度なグラフィックを提供する手段には、根本的な相違があります。Windows エコシステムにおいてグラフィック基盤として広く使用されているのは、DirectX です。Mac におけるグラフィック サポートは、QuickDraw® (初期の Mac) から Quartz® (初期の Mac OS X®)、そして現在の Metal に至るまで、複数の異なる方法で提供されています。
Parallels Desktop は、この相違の橋渡しを担っており、DirectX で構築された Windows アプリケーションを Mac で実行できるようにしています。Parallels Desktop の以前のバージョンにおいては、この部分は別のグラフィック ライブラリである OpenGL® が担っていました。Parallels のエンジニア達は、Mac で利用可能だった OpenGL を活用することで、多くの Windows アプリケーションが必要とするグラフィック サポートを実現して来たのです。
しかし、Apple® 社は 2017 年 6 月に Mac における OpenGL の非推奨を発表し、すべての Mac での開発者に対して Metal への移行を推奨しました。Metal は 2014 年から利用可能となっており、macOS®、iOS、tvOS™ そして watchOS® に組み込まれています。最近の Apple ハードウェア製品は、すべて Metal 対応のハードウェア アクセラレーションを提供しており、Mac アプリケーションで高速なグラフィック パフォーマンスを引き出すには Metal が最適なアプローチとなります。
Parallels Desktop でのグラフィック ニーズは、他の Mac アプリケーションとはかなり異なっています。そのため Parallels のエンジニア達は、Apple のエンジニアとの共同作業に取り組み、DirectX を使用する Windows アプリケーションのニーズを Parallels Desktop の Metal がサポートできるようにして来ました。Parallels Desktop 15 と macOS Catalina に搭載される Metal で、最適な動作が得られるようになっています。
Parallels Desktop の直近 3 バージョンにおける、それぞれのグラフィック ライブラリの関係性については、表 1 をご覧ください。
Parallels Desktop 13 | Parallels Desktop 14 | Parallels Desktop 15 | |
DirectX 9 | サポート OpenGL 経由 | サポート OpenGL 経由 | サポート Metal 経由 |
DirectX 10 | サポート OpenGL 経由 | サポート OpenGL 経由 | サポート Metal 経由 |
DirectX 11 | サポート対象外 | サポート対象外 | サポート Metal 経由 |
表 1: Parallels Desktop の直近 3 バージョンにおける Windows と Mac のグラフィック ライブラリの関係性
では、Parallels Desktop 15 のユーザーにどのような効果があるのでしょうか?次に示すような広範な効果をご紹介します。
- Metal への移行により、Parallels Desktop 15、特にグラフィックスにおいて速度と効率性が向上
- Parallels Desktop 14 以前のバージョンでは起動できなかった一部の Windows アプリケーションが、実行できるようになった。他の Windows アプリケーションでもパフォーマンスが向上
- 注: OpenGL は引き続き macOS Mojave および macOS Catalina で使用できるため、Linux 3D アプリケーションと同様に、Windows OpenGL アプリケーションも継続して Mac OpenGL に依存
次の表 2 は、Parallels Desktop 15 で動作する Windows アプリケーションの一部です。
CAD / CAM アプリケーション | ゲーム |
Autodesk® 3ds Max 2020 | Anno 2205 |
Lumion | Frostpunk |
ArcGIS Pro 2.3 | Mark of the Ninja: Remastered |
MasterSeries | Risk of Rain 2 |
Space Engineers | |
Age of Empires: Definitive Edition |
私の同僚で、Parallels Desktop のシニア プロダクトマネージャーを務めるカート・シュマッカーにとっては、Age of Empires:Definitive Edition が特に重要です。以前に彼が書いたブログ記事 (*英語のみ) では、Age of Empires が彼の一番のお気に入りゲームとのことでした。2018 年 2 月、Microsoft® 社は、Definitive Edition というバージョンをリリースしました。この新バージョンを彼はぜひともプレイしたかったのですが、 これには DirectX 11 が必須でした。Parallels Desktop 14 上で試してみたようですが、結果は大変がっかりするようなものだったとのこと。以下の警告ダイアロ (図1) が表示され、ゲームの動きは大変遅く、満足できるプレイができなかったようです。
そこで、Parallels Desktop 15 のベータ版がリリースされた時、彼は Age of Empires: Definitive Edition の動作をテストしてみたそうです。Age of Empires の新バージョンは、Parallels Desktop 15 で、特に macOS Catalina のベータ版を使用した時には、まったく問題なく動作しました。そして、その喜びを即座に開発チームに伝えたとのことでした。以下のビデオ 1 では、Parallels Desktop 15 の初期ベータ版で、Age of Empires: Definitive Edition のゲームを実行している様子をご覧頂けます。
それでは、Parallels Desktop 15 ですべての DirectX 11 アプリケーションが完璧に動作するのでしょうか?ユーザー エクスペリエンスは、お使いのハードウェア、特に Mac に搭載されている CPU とグラフィック カードに大きく依存します。
最近の DirectX 11 ゲームの多く、特に一人称視点シューティング ゲームでは、利用可能なほとんどの最新ハードウェアにとって負担となります。DirectX をサポートする Parallels Desktop で、実に驚異的な結果を得られる場合もあります。とは言え、Parallels Desktop により、4 年前に購入した MacBook Air® が、13 万円の水冷式グラフィック カードを内蔵した 80 万円の Alienware™ ゲーミング PC に変身する訳ではありません。それは不可能です。
少しの誤解もないように、上のビデオ 1 を撮影した Mac の詳細について、以下の図 2 に示します。
さらに、Parallels Desktop 15 上の Windows 10 では、Xbox® ゲームも実行できます。これについては、近く公開予定の別のブログ記事で詳しく説明します。
Parallels Desktop 15 で動作する DirectX アプリケーションについてのユーザー エクスペリエンスを、ぜひコメントとしてお寄せください。私も Age of Empires: Definitive Edition をプレイしてみていますが、それを中断してコメントに返信できるよう努めたいと思います。
そして、ぜひとも Parallels Desktop 15 を試してみてください。こちらから 14 日間の無償トライアル版をダウンロードして頂けます。